一輪の花は百輪の花よりもはなやかさを思わせるものなのです。(川端康成 ノーベル文学賞受賞式講演より)
日本文化の傑出した特徴の一つは簡潔さです。簡潔だから、本質がよく見える。飾り立てる必要のない、素の美しさ。幾重にも重なる花びらや、ほのかな香りをまとう蕾、小さな新芽の若々しさ、気候の厳しさを一身に受けたような節くれだった枝。自然の叡智に人間は適わない。時には一輪の花をじっくり観察してみましょう。その花が持つ本来の美しいところを捜してみましょう。そしてその一番素敵なところを生け花を通して表現してみましょう。シンプルでありながら、とてもゴージャスな生け花となることでしょう。
空間を埋めていくフラワーアレンジメントに対して、生け花は空間を創り出す、と言われています。一本の枝の柔らかい曲線や真っ直ぐな線は空間の中に緊張感を創り出します。生け花にとって、空間は「無」ではなく、大事な要素の一つなのです。その空間の中に長さの違う3本の花枝で三角形を造っていきます。ただそれだけの事なのに、同じ花材を使っても毎回違う生け花になります。面白くて難しい。それが生け花の魅力でもあります。